危険物とは?危険物質の分類と輸送規制をわかりやすく解説
危険物とは、輸送中に人の健康、船舶の安全、財産、または環境に対して危害を及ぼす可能性のある物品を指します。これらの危険物を輸送する際には、適切な分類・梱包が求められ、IMO(国際海事機関)やIMDGコード(国際海上危険物規則)などの国際基準に準拠する必要があります。これにより、輸送過程における安全性を確保することが可能になります。
本記事では、さまざまな危険物の種類およびそれに関連する輸送規則についてわかりやすくご紹介します。
1. 危険物質の分類を理解して、安全輸送を実現!
輸送を計画されている場合は、危険物について事前に理解しておくことが非常に重要です。
危険物は全9クラスに分類されており、この分類は輸送中の法令遵守と安全確保のために欠かせない基準です。
貨物を安全かつ迅速に輸送するためには、経験豊富で専門知識を持つ輸送業者を選定することが重要です。細心の注意と責任感を持って対応できる業者こそが、輸送の成功を支えるパートナーとなります。
爆発物は、重大な危険を伴うため、さらに6つのグループ(1.1〜1.6)に細かく分類されています:
クラス1:爆発物(Explosives)
1.1類:全体爆発の危険性がある物質または物品。一度誘発されると、貨物全体に瞬時に爆発が及ぶ危険性を持ちます。
1.2類:全体爆発の危険性はないが、飛散(飛び道具)による危険性を有する物質または物品。
1.3類:燃焼による危険性、および小規模な爆発または飛散の危険性を持つ物質または物品。または、これらの危険を複合的に持つが全体爆発の危険性はないもの。
1.4類:重大な危険性のない物質または物品。
1.5類:感度は非常に低いが、全体爆発の危険性を有する物質。
1.6類:極めて感度が低く、全体爆発の危険性もない物質
クラス2:ガス類(Gases)
2.1類:可燃性ガス(Flammable Gases)
2.2類:非可燃性・非毒性ガス(Non-flammable, Non-toxic Gases)
2.3類:毒性ガス(Toxic Gases)
クラス3 (引火性液体):
クラス4 (可燃性固体・自然発火性物質・禁水性物質):
4.1類 可燃性固体
4.2類 自然発火性物質
4.3類 禁水性物質
クラス5 (酸化性物質および有機過酸化物):
5.1類 酸化性物質
5.2類 有機過酸化物
クラス6 (毒性物質および感染性物質):
6.1類 毒性物質
6.2類 感染性物質
クラス7(放射性物質):
放射性物質クラスⅠ
放射性物質クラスⅡ
放射性物質クラスⅢ
核分裂性物質(フィッシル・マテリアル)
クラス8 (腐食性物質):
クラス9 (その他の危険物):
海洋汚染
2. 危険物輸送の規制を正しく理解し、スムーズな貨物輸送を実現!
(1)危険物は正確に分類し、明確に表示する必要があります
すべての危険物は輸送前に正確な分類を行い、国際海上危険物規則(IMDGコード:International Maritime Dangerous Goods Code)に従った適切な梱包および表示を行う必要があります。これは、輸送中の安全性を確保するために不可欠なステップです。
また、危険物の包装には、必ず明確な「危険物ラベル(Dangerous Goods Label)」を貼付する必要があります。
これにより、貨物の危険性を視覚的にわかりやすく伝えることができ、万が一の緊急時にも、対応者が迅速かつ適切に行動できる環境が整います。
危険を見逃さない「見える化」こそが、安全輸送の第一歩なのです。
(2) 正確な危険物情報の提供が必須です
危険物を輸送する際には、正確かつ詳細な書類の提出が義務付けられています。
その中には、危険物申告書(Dangerous Goods Declaration)と安全データシート(MSDS:Material Safety Data Sheet)。
これらの書類は、輸送に関わるすべてのステップで適切な取り扱いを実現するために不可欠であり、輸送のスムーズな進行を支える重要な情報源です。
>>>関連記事:MSDS(化学物質安全データシート)の読み方と注目すべきポイントを解説
(3) 危険物輸送に関わる人員は専門的な訓練を受ける必要があります
危険物の輸送に従事する者は、適切な資格を有し、専門的な訓練を受ける必要があります。これは輸送の安全性を確保するために不可欠です。
さらに、危険物を輸送する船舶および関連設備は、船体の設計、保守、運用を含め、特定の安全基準に適合していなければなりません。
掲載日: 2025年2月3日