HS コード( 関税分類番号 )とは?輸出入で正しく使う重要性を一記事で解説

HSコード(関税分類番号)とは?輸出入で正しく使う重要性を一記事で解説

 

Meta Description(メタディスクリプション):HSコード(関税分類番号)は、商品の分類と識別を迅速かつ正確に行うために国際的に使用されるコードです。正しいHSコードを使用することで、輸出入通関がスムーズに進みます。誤ったコードを使うと、通関遅延や罰金のリスクが発生する可能性も。本記事では、HSコードの基本と重要性についてわかりやすく解説します。

 

前書き(導入文):商品が多様化する中で、HSコードは、国際貿易における統一された標準として導入されました。
このコードにより、通関手続きの効率化、貿易上のトラブルの回避、貨物の合法的かつ安全な輸送の確保が可能となり、HSコードは国際物流において非常に重要な役割を果たしています。本記事では、HSコードとは何か?なぜ正確に使う必要があるのか?誤使用によるリスクとは?といったポイントを詳しく解説していきます。

 

1.   HSコード(関税分類番号)とは?

HSコード(Harmonized System Code)は、世界税関機構(WCO:World Customs Organization)によって制定された、国際共通の貨物分類コードです。

HSコードは、最初の6桁が国際的に統一された番号であり、各国はその後に独自の数字を追加して、より細かく分類することができます。例えば、アメリカや中国は10桁、EU加盟国は8桁または10桁のコードを使用しています。

数字の構造は以下の通りです:

  • 第1〜2桁:章(Chapter) → 大分類
  • 第3〜4桁:項(Heading) → 中分類
  • 第5〜6桁:号(Subheading) → 細分類

台湾では11桁のHSコードを採用しており:第7〜8桁:款『類別細分』、第9〜10桁:『統計番号』、第11桁:『検査番号』。例:アクリロニトリル(Acrylonitrile、略称:AN)のHSコード → 2926 1000 005,29:第29章(有機化学品)、26:項(シアン化合物)、10:号(特定品目の詳細分類)。

 

2.   なぜ輸出入でHSコードを正しく使用する必要があるのか?HSコードの重要性とは

 

(1) 国際的に統一された商品分類基準を提供する

HSコード(関税分類番号)は、名称と数字体系によって商品を分類する、国際的に認められた標準分類システムです。HSコードは、世界共通の言語として、貿易管理と税関手続きの効率化を実現する鍵となる要素です。

 

(2) 関税計算の基礎となる重要な情報

HSコード(関税分類番号)は、輸出入貨物に対して課される関税やその他の税金を計算する際の重要な基準です。商品ごとに異なるHSコードが割り当てられており、それぞれのコードに対応する税率が個別に設定されています。また、一部の国や地域では、特定の製品に対して関税の優遇措置や免税制度を設けており、それらの特典を適用するためには、正しいHSコードの使用が前提条件となります。

 

(3) 税関による貿易統計と輸出入管理に役立つ

各国の税関は、HSコード(関税分類番号)を活用して輸出入貨物の情報を統計・分析しており、
貿易政策の策定や経済動向の把握における重要な基礎データとして利用されています。また、HSコードの体系化により、危険物や違法商品の貿易を監視・管理することも可能となり、国際貿易および各国の法律・規制を遵守した貨物輸送の実現に大きく貢献します。これにより、禁止品や規制品の不正な流通を防止し、サプライチェーンの安全性が確保されます。

 

>>>関連記事:危険物とは?分類・輸送ルールをわかりやすく解説

 

(4) 輸送効率の向上に貢献する

HSコード(関税分類番号)を正しく使用することで、商品の分類や識別が迅速かつ正確に行われ、
貨物の滞留時間を削減し、輸送全体の効率を高めることができます。

また、企業にとっても、正確なHSコードの使用は通関申告のスピードアップに直結し、国際取引の業務効率化に大きく寄与します。通関のスムーズ化=リードタイム短縮=コスト削減という好循環を生み出す上でも、HSコードの正確な運用は欠かせません。

 

3.   HSコードを誤って使用するとどうなる?考えられるリスクと影響

(1) 通関の遅延または貨物の通関拒否

誤ったHSコードを使用すると、輸出入申告手続きに遅れが生じる可能性があります。
税関担当者からコードの修正を求められたり、貨物が一時的に保留され、通関エリア内に滞留してしまうケースも少なくありません。最悪の場合、税関が貨物の通関を拒否し、目的地への納品ができなくなる可能性もあります。

 

(2) 追加課税や罰金の発生

HSコードを誤って使用すると、通関の遅延や貨物の保留に加えて、追加関税の支払い義務や罰金が科される可能性もあります。さらに悪質と見なされる場合には、法的トラブルに発展することもあるため、非常に注意が必要です。そのため、輸出入申告の前には、申告するHSコードが正確であるかを必ず確認・照合することが、リスク回避の鍵となります。

 

(3) 重点監視リストに登録される可能性

HSコードの誤使用が繰り返され、意図的な課税回避や虚偽申告の疑いがあると税関に判断された場合、
企業は重点監視リスト(ハイリスク企業リスト)に登録される可能性があります。これにより、今後の輸出入において税関審査がより厳格化され、通関時間の延長や検査頻度の増加が避けられず、結果的に企業の業務効率や納期遵守に長期的な悪影響を与えるリスクが高まります。

 

(4) 企業信用評価への悪影響

HSコードの頻繁な誤使用は、税率の誤認による課税トラブルや関税紛争を引き起こす可能性があり、
企業の信用格付けを下げる要因となり得ます。これにより、今後の貿易活動における取引条件の悪化やコスト増加を招くリスクがあります。さらに、通関遅延は取引先(荷受人)への納品遅れにもつながり、クレームや不満を生む原因にもなります。その結果、企業のブランドイメージや商業的信頼関係が損なわれる可能性もあるため、慎重な管理が求められます。

 

掲載日 : 2025 年 02 月 06 日

輸入時のデバンニングと輸出時のバンニングとは?倉庫作業の流れを一括解説!

輸入時のデバンニングと輸出時のバンニングとは?倉庫作業の流れを一括解説!

 

Meta Description(メタディスクリプション):デバンニング(輸入時の荷下ろし)とバンニング(輸出時の荷積み)は、倉庫物流において重要な工程です。本記事では、それぞれの作業内容と流れを詳しく紹介し、貨物の安全と正確な管理を実現するためのポイントを解説します。

 

前書(導入文)輸入時のデバンニング作業は複数の工程があり、関係者の高い連携と正確な作業が求められます。貨物を安全かつ効率的にコンテナから取り出すには、段取り・確認・荷役など一つひとつの動作が非常に重要です。

一方で、輸出時のバンニング作業では、時間管理と現場での協力体制がカギとなり、貨物をスムーズに船積みし、目的地まで確実に届けることが可能になります。
どちらも、貨物の仕分け・積載という共通のプロセスを経て、国際輸送の出発点または到着点として重要な役割を果たしています。この記事では、デバンニングとバンニングの具体的な流れや注意点をわかりやすくご紹介します。

 

1.   デバンニング(輸入)とバンニング(輸出)とは?倉庫作業の基本を理解しよう

(1) 輸入デバンニングの概要

海上輸入における「コンテナ開梱(デバンニング)」とは、コンテナに積載された貨物を目的地に輸送した後、現地の税関の監督下で荷下ろしおよび仕分けを行うプロセスを指します。
具体的には、貨物が海上輸送によって指定された港に到着した後、ターミナルまたはコンテナヤードにてコンテナから取り出す作業が必要です。

 

(2) 輸出バンニングの概要

海上輸送における輸出バンニング(Vanning/バン)は、輸出貨物を税関管理下の港またはコンテナヤードに搬入し、コンテナへ積み込み・封緘(シール)する作業です。
バンニングは、貨物を安全かつ効率的に目的地まで届けるための重要な工程であり、荷物の移動・固定・積載計画など複数の作業を伴います。

 

2.   輸入デバンニングの流れ:高度な連携と正確な作業がカギ

(1) コンテナ船の到着

コンテナ船が輸入港(目的港)に到着すると、港湾の荷役会社によってコンテナが船から降ろされ、輸入貨物の一時保管エリアへと運ばれます。

 

(2) 指定倉庫でのデバンニング作業

コンテナは、港またはコンテナヤードのデバンニングエリアへ搬送され、税関の監視下で荷下ろし作業が行われます。

作業員はフォークリフト(フォーク)を使用してコンテナ内から貨物を取り出し、インボイスや積荷リスト(マニフェスト)と照合しながら数量を確認します。その後、貨物は輸入倉庫に一時保管され、輸入者による通関手続きが完了するまで保管されます。

デバンニング中に、貨物の破損や積荷リストとの不一致などが確認された場合、港やコンテナヤードから速やかに輸入者または税関当局に報告されます。

 

(3) 輸入者による貨物の引き取り

輸入者(荷受人)は、輸入通関手続きを完了し、必要な税金や手数料を支払った後、貨物の引き取りを手配することができます。通常は、トラックを手配して、指定された保管場所(倉庫またはヤード)から貨物を引き取ります。

 

3.   輸出バンニングの流れ:正確なタイムマネジメントと連携がカギ

(1) 港またはコンテナヤードでのバンニング作業

荷主自身がバンニングを行えない場合や、貨物の量がコンテナ1本を満たさない場合は、
貨物を税関の監督下にある港湾施設やコンテナヤードに搬入し、現地スタッフによりバンニング(積み込み)作業が行われます。このようなケースでは、港やCY(コンテナヤード)側がバンニングサービスを提供し、輸送に適した積み方・固定方法に従ってコンテナに貨物を積載します。

 

(2) 輸出通関および税関の許可(シッピング・リリース)

港湾施設やコンテナヤードでは、貨物のバンニング作業を行う前に、荷主が輸出通関を完了しているか、また税関から輸出許可(通関許可)が出ているかどうかを確認します。税関による輸出許可(リリース)が確認された後に初めて、コンテナへの積み込み作業(バンニング)が実施されます。

 

(3) 貨物の形状・重量に応じたバンニング作業

港湾やコンテナヤードの作業員は、船会社・フォワーダー・荷主が提出した「バンニングプラン(Stuffing Plan)」に基づいて、貨物をコンテナに積み込みます。また、貨物のサイズや重量に応じて積載順序を調整することで、効率的かつ安全なバンニングを行います。例えば、重量物や大きな貨物は先に積載し、荷崩れや貨物の破損、船会社の重量制限超過などが発生しないように配慮されます。

 

(4) 貨物の固定と封緘(シール)の確認

港やコンテナヤードの作業員は、重量物や大型貨物を積載する際、木材(木枠や木板)などを使用して貨物をしっかり固定する必要があります。これは、輸送中の揺れによる貨物の移動や、他の貨物への圧迫による損傷を防ぐための重要な作業です。すべての貨物が正しく積載され、内容や配置に問題がないことを最終確認した後、船会社が指定するコンテナシール(封印)を取り付けて封緘作業を完了させます。

 

(5) 輸出保管エリアへの搬送と船積みの手配

港やコンテナヤードでは、貨物の積み込みと封緘が完了したコンテナを輸出保管エリアへ搬送します。
その後、コンテナ船が寄港するタイミングに合わせて、該当コンテナは船積み(ローディング)され、目的港へと出発します。

 

掲載日: 2025 年 02 月 05 日

MSDS(化学物質安全データシート)の見方とは?注目すべき重要項目を解説

MSDS(化学物質安全データシート)の見方とは?注目すべき重要項目を解説

 

Meta Description(メタディスクリプション):MSDS(Material Safety Data Sheet/化学物質安全データシート)は、SDS(Safety Data Sheet)とも呼ばれ、化学品の取り扱いに欠かせない情報源です。この記事では、MSDSの基本的な読み方と、安全な保管・輸送・使用のために特に注意すべき項目を解説します。

 

前書き(導入文):本記事では、国連が策定したGHS(Globally Harmonized System of Classification and Labeling of Chemicals:化学品の分類および表示の世界的調和システム)に基づく、MSDS(化学物質安全データシート)の記載内容と章構成について詳しくご紹介します。

 

1.   MSDSとは?その目的と主な用途

MSDS(Material Safety Data Sheet/化学物質安全データシート)とは、化学品を取り扱う関係者に対して、化学品の名称・成分比率、物理的・化学的性質、使用方法、取扱時の注意点、事故発生時の応急処置や対応策などを伝えるための専門的な文書です。MSDSの対象となる使用者は一般消費者ではなく、以下のような専門知識を要する職種の関係者です:工場の作業員、研究所や実験室の技術者、ISOタンクコンテナの運転手、 化学品を積載した貨物船の船員、医療従事者や消防隊員など。したがって、化学品の供給業者にはMSDSの提供義務があり、文書は職場や輸送容器(ISOタンクやドラム缶など)において、誰でもすぐに確認できる見やすい位置に保管されている必要があります。

 

>>>関連記事:ISOタンクとは?用途を含めて解説 ISOタンクの種類・コンテナタイプ・容量・充填率の規定を一挙にご紹介

 

(1) 潜在的なリスクを知らせる

MSDSの重要な役割のひとつは、化学品の基本的な特性と、それに伴う潜在的なリスクを使用者に明確に伝えることです。例えば:引火性があるかどうか、毒性を有するかどうか、腐食性の有無、人体への健康影響(皮膚刺激、呼吸器への影響など)、発がん性の可能性、環境への影響(汚染リスク)。化学品の供給者は、これらのリスクに該当するGHSの危険性ピクトグラムをMSDSに記載する義務があります。

 

(2) 取り扱い時の注意点と緊急時の対応措置

MSDSには、化学品を使用・輸送・保管する際に避けるべき条件や接触してはならない物質が具体的に記載されています。これにより、事故や反応の発生を未然に防ぐことができます。さらに、万が一事故が発生した場合に備えて漏洩時の処理方法、消火方法、応急処置。

 

(3) IMDGコードに関する情報

国際海上危険物規則(IMDGコード:International Maritime Dangerous Goods Code)では、危険化学品に対して分類番号や取扱基準が明確に規定されています。輸送対象の化学品が危険物に該当する場合、MSDSの第14章には以下の情報を明記する必要があります:国連番号(UN No.)、危険等級(クラス番号 / CLASS No.)、海洋汚染物質(Marine pollutant)であるか(Yes / No)、包装等級(Packing group)。また、輸送に使用される容器(ISOタンクコンテナ等)には、該当する危険物ラベル(略称:危険ラベル/危標)を貼付しなければなりません。

ひとつの危険物が複数の危険区分に該当することもあります。たとえば、アクリロニトリル(UN番号:1093)は、クラス3(引火性液体)およびクラス6.1(毒性物質)に分類され、さらに海洋汚染物質にも該当します。そのため、アクリロニトリルを輸送するISOタンクコンテナには、以下の危険ラベルを貼付する必要があります:クラス3、6.1ラベルはUN番号:1093を表示,さらに、マリーンポリュータント(海洋汚染物質)のラベルも追加で貼付する必要があります。これら3種類の危険ラベルを、各面に1枚ずつ、合計4面に貼付するため、合計12枚のラベルが必要となります。

危険ラベルの貼付は、関係者に対して該当する危険物の分類および危険等級を明確に伝えることを目的としています。

 

>>>関連記事:危険物とは?分類と輸送規則をやさしく解説

 

2.   MSDS(SDS)にはどのような項目が含まれているか?

(1) 製品および会社情報

  • 化学品名称
  • 別名
  • 推奨用途および使用上の制限
  • 製造業者、輸入業者または供給者の名称・住所・電話番号
  • 緊急連絡先・FAX番号

 

(2) 危険性の要約(ハザードの識別)

  • 化学品の危険有害性分類
  • 表示内容(シンボルマークとその説明)
  • GHSピクトグラム(例:ドクロマーク、炎などの図示)
  • 注意喚起語
  • 危険有害性情報
  • 安全対策情報
  • その他の危険性(例:粉じん爆発など、GHSに該当しないが考慮すべき危険)

 

(3) 成分識別情報

  • 化学的性質(単一物質か混合物か)
  • 有害成分の情報(中文名称、別名、CAS番号、有害成分の含有割合)

 

(4) 応急措置

  • 暴露経路ごとの応急処置
  • 最も重要な症状および健康への影響
  • 応急処置を行う救助者に対する防護対策
  • 医師に対する注意事項

 

(5) 火災時の措置

  • 使用可能な消火剤および使用してはいけない消火剤
  • 火災時に発生する可能性のある特有の危険性
  • 特別な消火方法・手順
  • 消防隊員が着用すべき特別な保護装備

 

(6) 漏洩時の対応

  • 作業者個人の注意事項
  • 環境への注意事項
  • 回収および清掃方法

 

(7) 取扱いおよび保管上の注意

  • 取扱い時の注意事項
  • 保管時の注意事項

 

(8) ばく露予防措置

  • 工学的対策(工学的対策によるばく露防止)
  • 管理基準値(TWA 8時間あたりの平均許容濃度、STEL(短時間ばく露限界値)、CEILING(天井値):これを超えてはならない最大濃度(即時上限)、BEIs(生物学的許容指標)
  • 個人用保護具:(呼吸保護、手の保護、目の保護、皮膚および身体の保護、環境ばく露の制御)
  • 衛生管理措置

 

(9) 物理的および化学的性質

  • 外観(色、物質の状態[固体・液体・気体])
  • におい(臭気)
  • 臭気閾値(においの感知限界濃度)
  • PH値
  • 融点
  • 沸点または初留点
  • 引火点(フラッシュポイント)
  • 分解温度
  • 自然発火温度
  • 爆発範囲(下限/上限)
  • 蒸気圧
  • 蒸気密度
  • 比重または密度
  • 水への溶解度
  • n-オクタノール/水分配係数(log Kow)
  • 揮発速度(蒸発速度)

 

(10) 安定性および反応性

  • 反応性
  • 安定性
  • 特定条件下での危険な反応の可能性
  • 避けるべき条件(例:火気、高温、静電気、放電、衝撃、振動 など)
  • 接触を避けるべき物質
  • 危険な分解生成物

 

(11) 毒性に関する情報

  • ばく露経路:吸入、経口摂取、皮膚接触、眼への接触など
  • 症状 (物理的・化学的性質に基づく症状)
  • 急性毒性
  • 慢性毒性・長期毒性

 

(12) 環境に関する情報

  • 生態毒性
  • 分解性および残留性
  • 生物蓄積性
  • 土壌中での移動性
  • PBT特性(PBT(難分解性・高蓄積性・毒性)物質の評価)
  • vPvB特性(非常に難分解性かつ非常に高い生物蓄積性を有する物質の評価)
  • その他の有害影響

 

(13) 廃棄上の注意

  • 廃棄物の記載と情報
  • 安全な取り扱い
  • 廃棄方法
  • 汚染された容器の取り扱い

 

(14) 輸送に関する情報

  • UN番号(UN No.)
  • 正式輸送名称
  • 輸送上の危険物クラス
  • 包装等級
  • 海洋汚染物質か否か
  • 特別な輸送方法および注意事項

 

(15) 法令に関する情報

  • 関連法令の制定状況
  • 適用される法規制 (すべての関連する安全・衛生および環境法規)

 

(16) その他の情報

  • 参考文献
  • SDSの作成情報 (製表単位、担当者名、作成日および改訂日)
  • 備考欄

 

3.   MSDSで特に注意すべき内容とは?

(1) MSDSに記載されていない情報がある場合もある

一部の化学品に関しては、製造メーカーや工場が配合比率や製造方法などの企業秘密を保護する目的で、
MSDS(SDS)にすべての情報を明記していない場合があります。

そのため、必要に応じて他の技術資料や学術文献と照合・確認することが重要です。
具体的には以下のようなケースが考えられます:

  • 混合物の配合比率:多くの場合、成分は含有範囲で記載され、正確な比率は明示されないことが一般的です。
  • 製造方法

 

(2) MSDSの適用対象外となる製品もある

化学成分を含む製品であっても、多くの化学品サプライヤーはMSDSを提供しますが、当局(台湾では「危害性化学品標示及び通識規則」)の規定により、以下の製品はMSDSの提供が免除されています:

  • 消火器
  • 成形された最終製品
  • 産業廃棄物
  • タバコおよびタバコ製品
  • 反応槽または製造プロセス中に生成される中間体(反応途中の物質)
  • 食品・飲料・医薬品・化粧品
  • 非工業用途の一般家庭用消費財
  • その他、中央主管機関(政府機関)により指定されたもの

 

(3) MSDSは定期的に更新する必要がある

台湾の「危害性化学品標示及び通識規則」第3章「安全データシート(、リスト、開示および教育措置」の第15条に基づき、化学品の供給者は、少なくとも3年に一度、MSDSの内容を見直し、最新の法令に適合しているか確認する義務があります。また、新しい実験データ、研究結果、毒性情報、用途情報などが得られた場合は、該当項目を修正し、MSDSの作成(改訂)日を更新したうえで、最新版を関係取引先に提供しなければなりません。さらに重要なのは、MSDSは製造・使用される国や地域によって参照すべき法令が異なるため、各国の規定に準拠して作成する必要があります。
以下に代表的な基準を示します:

  • 台湾:「危害性化学品標示及び通識規則」/CNS15030(化学品分類および表示)
  • 中国:GB 30000
  • 米国:Hazard Communication Standard(HCS)
  • 欧州連合(EU):REACH / CLP規則

 

掲載日: 2025 年 02 月 04 日

危険物とは?危険物質の分類と輸送規制をわかりやすく解説

危険物とは?危険物質の分類と輸送規制をわかりやすく解説

 

Meta Description(メタディスクリプション):危険物輸送は、高度に規制された分野であり、安全性と環境保護を目的とした厳格なルールに従う必要があります。本記事では、危険物質の分類とその輸送規制についてわかりやすく解説します。

 

前書き(導入文):危険物とは、輸送中に人の健康、船舶の安全、財産、または環境に対して危害を及ぼす可能性のある物品を指します。これらの危険物を輸送する際には、適切な分類・梱包が求められ、IMO(国際海事機関)やIMDGコード(国際海上危険物規則)などの国際基準に準拠する必要があります。これにより、輸送過程における安全性を確保することが可能になります。
本記事では、さまざまな危険物の種類およびそれに関連する輸送規則についてわかりやすくご紹介します。

 

1.   危険物質の分類を理解して、安全輸送を実現!

輸送を計画されている場合は、危険物について事前に理解しておくことが非常に重要です。
危険物は全9クラスに分類されており、この分類は輸送中の法令遵守と安全確保のために欠かせない基準です。

貨物を安全かつ迅速に輸送するためには、経験豊富で専門知識を持つ輸送業者を選定することが重要です。細心の注意と責任感を持って対応できる業者こそが、輸送の成功を支えるパートナーとなります。

爆発物は、重大な危険を伴うため、さらに6つのグループ(1.1〜1.6)に細かく分類されています:

 

クラス1:爆発物(Explosives)

1.1類:全体爆発の危険性がある物質または物品。一度誘発されると、貨物全体に瞬時に爆発が及ぶ危険性を持ちます。

1.2類:全体爆発の危険性はないが、飛散(飛び道具)による危険性を有する物質または物品。

1.3類:燃焼による危険性、および小規模な爆発または飛散の危険性を持つ物質または物品。または、これらの危険を複合的に持つが全体爆発の危険性はないもの。

1.4類:重大な危険性のない物質または物品。

1.5類:感度は非常に低いが、全体爆発の危険性を有する物質。

1.6類:極めて感度が低く、全体爆発の危険性もない物質

第1類爆発物の危険物ラベル

クラス2:ガス類(Gases)

2.1類:可燃性ガス(Flammable Gases)

2.2類:非可燃性・非毒性ガス(Non-flammable, Non-toxic Gases)

2.3類:毒性ガス(Toxic Gases)

第2類ガスの危険物ラベル

 

クラス3 (引火性液体):

第3類可燃性液体の危険物ラベル

クラス4 (可燃性固体・自然発火性物質・禁水性物質):

4.1類 可燃性固体

4.2類 自然発火性物質

4.3類 禁水性物質

第4類・4.1可燃性固体、4.2自発熱物質、4.3水反応性物質の危険物ラベル

 

クラス5 (酸化性物質および有機過酸化物):

5.1類 酸化性物質

5.2類 有機過酸化物

第5類・5.1酸化性物質、5.2有機過酸化物の危険物ラベル

 

クラス6 (毒性物質および感染性物質):

6.1類 毒性物質

6.2類 感染性物質

第6類・6.1毒性物質、6.2感染性物質の危険物ラベル

 

クラス7(放射性物質):

放射性物質クラスⅠ

放射性物質クラスⅡ

放射性物質クラスⅢ

核分裂性物質(フィッシル・マテリアル)

第7類・一級、二級、三級放射性物質および可分裂物質の危険物ラベル

 

クラス8 (腐食性物質):

第8類腐食性物質の危険物ラベル

 

クラス9 (その他の危険物):

第9類その他の危険物の危険物ラベル

 

海洋汚染

海洋汚染物質の危険物ラベル

 

2.   危険物輸送の規制を正しく理解し、スムーズな貨物輸送を実現!

 

(1)危険物は正確に分類し、明確に表示する必要があります

すべての危険物は輸送前に正確な分類を行い、国際海上危険物規則(IMDGコード:International Maritime Dangerous Goods Code)に従った適切な梱包および表示を行う必要があります。これは、輸送中の安全性を確保するために不可欠なステップです。

また、危険物の包装には、必ず明確な「危険物ラベル(Dangerous Goods Label)」を貼付する必要があります。
これにより、貨物の危険性を視覚的にわかりやすく伝えることができ、万が一の緊急時にも、対応者が迅速かつ適切に行動できる環境が整います。

危険を見逃さない「見える化」こそが、安全輸送の第一歩なのです。

 

(2) 正確な危険物情報の提供が必須です

危険物を輸送する際には、正確かつ詳細な書類の提出が義務付けられています。
その中には、危険物申告書(Dangerous Goods Declaration)と安全データシート(MSDS:Material Safety Data Sheet)。

これらの書類は、輸送に関わるすべてのステップで適切な取り扱いを実現するために不可欠であり、輸送のスムーズな進行を支える重要な情報源です。

 

>>>関連記事:MSDS(化学物質安全データシート)の読み方と注目すべきポイントを解説

 

(3) 危険物輸送に関わる人員は専門的な訓練を受ける必要があります

危険物の輸送に従事する者は、適切な資格を有し、専門的な訓練を受ける必要があります。これは輸送の安全性を確保するために不可欠です。

さらに、危険物を輸送する船舶および関連設備は、船体の設計、保守、運用を含め、特定の安全基準に適合していなければなりません。

 

掲載日: 2025年2月3日

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