HS コード( 関税分類番号 )とは?輸出入で正しく使う重要性を一記事で解説
商品が多様化する中で、HSコードは、国際貿易における統一された標準として導入されました。
このコードにより、通関手続きの効率化、貿易上のトラブルの回避、貨物の合法的かつ安全な輸送の確保が可能となり、HSコードは国際物流において非常に重要な役割を果たしています。本記事では、HSコードとは何か?なぜ正確に使う必要があるのか?誤使用によるリスクとは?といったポイントを詳しく解説していきます。
1. HSコード(関税分類番号)とは?
HSコード(Harmonized System Code)は、世界税関機構(WCO:World Customs Organization)によって制定された、国際共通の貨物分類コードです。
HSコードは、最初の6桁が国際的に統一された番号であり、各国はその後に独自の数字を追加して、より細かく分類することができます。例えば、アメリカや中国は10桁、EU加盟国は8桁または10桁のコードを使用しています。
数字の構造は以下の通りです:
- 第1〜2桁:章(Chapter) → 大分類
- 第3〜4桁:項(Heading) → 中分類
- 第5〜6桁:号(Subheading) → 細分類
台湾では11桁のHSコードを採用しており:第7〜8桁:款『類別細分』、第9〜10桁:『統計番号』、第11桁:『検査番号』。例:アクリロニトリル(Acrylonitrile、略称:AN)のHSコード → 2926 1000 005,29:第29章(有機化学品)、26:項(シアン化合物)、10:号(特定品目の詳細分類)。
2. なぜ輸出入でHSコードを正しく使用する必要があるのか?HSコードの重要性とは
(1) 国際的に統一された商品分類基準を提供する
HSコード(関税分類番号)は、名称と数字体系によって商品を分類する、国際的に認められた標準分類システムです。HSコードは、世界共通の言語として、貿易管理と税関手続きの効率化を実現する鍵となる要素です。
(2) 関税計算の基礎となる重要な情報
HSコード(関税分類番号)は、輸出入貨物に対して課される関税やその他の税金を計算する際の重要な基準です。商品ごとに異なるHSコードが割り当てられており、それぞれのコードに対応する税率が個別に設定されています。また、一部の国や地域では、特定の製品に対して関税の優遇措置や免税制度を設けており、それらの特典を適用するためには、正しいHSコードの使用が前提条件となります。
(3) 税関による貿易統計と輸出入管理に役立つ
各国の税関は、HSコード(関税分類番号)を活用して輸出入貨物の情報を統計・分析しており、
貿易政策の策定や経済動向の把握における重要な基礎データとして利用されています。また、HSコードの体系化により、危険物や違法商品の貿易を監視・管理することも可能となり、国際貿易および各国の法律・規制を遵守した貨物輸送の実現に大きく貢献します。これにより、禁止品や規制品の不正な流通を防止し、サプライチェーンの安全性が確保されます。
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(4) 輸送効率の向上に貢献する
HSコード(関税分類番号)を正しく使用することで、商品の分類や識別が迅速かつ正確に行われ、
貨物の滞留時間を削減し、輸送全体の効率を高めることができます。
また、企業にとっても、正確なHSコードの使用は通関申告のスピードアップに直結し、国際取引の業務効率化に大きく寄与します。通関のスムーズ化=リードタイム短縮=コスト削減という好循環を生み出す上でも、HSコードの正確な運用は欠かせません。
3. HSコードを誤って使用するとどうなる?考えられるリスクと影響
(1) 通関の遅延または貨物の通関拒否
誤ったHSコードを使用すると、輸出入申告手続きに遅れが生じる可能性があります。
税関担当者からコードの修正を求められたり、貨物が一時的に保留され、通関エリア内に滞留してしまうケースも少なくありません。最悪の場合、税関が貨物の通関を拒否し、目的地への納品ができなくなる可能性もあります。
(2) 追加課税や罰金の発生
HSコードを誤って使用すると、通関の遅延や貨物の保留に加えて、追加関税の支払い義務や罰金が科される可能性もあります。さらに悪質と見なされる場合には、法的トラブルに発展することもあるため、非常に注意が必要です。そのため、輸出入申告の前には、申告するHSコードが正確であるかを必ず確認・照合することが、リスク回避の鍵となります。
(3) 重点監視リストに登録される可能性
HSコードの誤使用が繰り返され、意図的な課税回避や虚偽申告の疑いがあると税関に判断された場合、
企業は重点監視リスト(ハイリスク企業リスト)に登録される可能性があります。これにより、今後の輸出入において税関審査がより厳格化され、通関時間の延長や検査頻度の増加が避けられず、結果的に企業の業務効率や納期遵守に長期的な悪影響を与えるリスクが高まります。
(4) 企業信用評価への悪影響
HSコードの頻繁な誤使用は、税率の誤認による課税トラブルや関税紛争を引き起こす可能性があり、
企業の信用格付けを下げる要因となり得ます。これにより、今後の貿易活動における取引条件の悪化やコスト増加を招くリスクがあります。さらに、通関遅延は取引先(荷受人)への納品遅れにもつながり、クレームや不満を生む原因にもなります。その結果、企業のブランドイメージや商業的信頼関係が損なわれる可能性もあるため、慎重な管理が求められます。
掲載日 : 2025 年 02 月 06 日