ISO タンクとは?用途を含めて解説 ISO タンクの種類・コンテナタイプ・容量・充填率の規定を一挙にご紹介
ISOタンクは、国際標準化機構(ISO: International Organization for Standardization)の規格に準拠して製造されており、輸送時の安全性が確保されています。現在では、最小7,000リットルから最大30,000リットルまでの容量設計がされており、多様な輸送・保管ニーズに対応可能です。
なぜISOタンクは、これほどまでに多くのユーザーから信頼を得ているのでしょうか?
本記事では、ISOタンクの特長と利点について詳しく解説し、その優位性を探っていきます。
1. ISOタンクとは?その用途について
ISOタンク(国際標準タンクコンテナ)とは、液体・気体・粉体などの貨物を輸送または保管するために特別に設計されたコンテナです。炭素鋼、304または316Lステンレス鋼などの高強度素材で製造されており、国際的に認証された品質と安全性を備えています。
設計は、国際標準化機構(ISO: International Organization for Standardization)や、国際海上危険物規則(IMDG Code: International Maritime Dangerous Goods Code)などの国際基準に準拠しています。
ISOタンクは用途に応じたさまざまな容量タイプが用意されており、ユーザーの多様なニーズに対応できます。陸上輸送と海上輸送の両方に対応可能で、輸送モードの切り替えも容易であるため、物流プロセスの効率化とコスト削減に大きく貢献します。
2. ISOタンクのメリット:安全性・効率性・環境配慮・柔軟性
(1) 安全性に優れている
従来のドラム缶(DRUM)やフレキシバッグ(FLEXIBAG)と比較して、ISOタンクは気密性に優れており、漏れや汚染のリスクを大幅に軽減できます。安全かつ環境に配慮した輸送手段をお探しであれば、ISOタンクはより高い安全性を提供する最適な選択肢と言えるでしょう。
(2) 輸送効率の向上
ISOタンクは一度に大量の液体・気体・粉体を搭載できるため、積卸しの頻度を低減し、作業工数および梱包コストを削減します。その結果、化学品輸送において最も高い効率を実現する輸送手段となっています。
(3) 環境の持続可能性に貢献
ISOタンクは、輸送や保管の過程での漏洩を効果的に防ぐことができ、環境汚染のリスクを大幅に軽減します。さらに、長距離輸送においては最大70%の燃料消費とCO₂排出量を削減することが可能で、環境に非常に優しい輸送手段として注目されています。
(4) コスト削減に効果的
ISOタンクは、適切に使用すれば20年以上の耐用年数があり、長期間にわたって繰り返し使用できます。そのため、使い捨て容器と比べて大幅なコスト削減が可能です。
(5) 高い柔軟性
ISOタンクにはさまざまなコンテナタイプがあり、貨物の性質・状態・用途に応じて、IMDG(国際海上危険物規則)の基準に適合する仕様を選ぶことができます。
たとえば、液体用タンクには食品グレード、工業用グレード、電子グレードがあり、気体用タンクには高圧タイプ・低圧タイプなどがあります。
さらに、複数の容量バリエーションが用意されており、多様な輸送ニーズに柔軟に対応できます。
3. ISOタンクのコンテナタイプとは?多様なニーズに応える各種仕様をご紹介!
化学品は「危険物」と「非危険物」に分類されます。
危険物には国連が定めた危険物識別番号(UN番号)が付与されており、IMDGコード(国際海上危険物規則)に基づいて、T1からT75までの特定のタンクタイプ(アクティブタンク)に適合させる必要があります。
(1) ISOタンク T11
ISOタンクT11は、現在最も一般的に使用されている標準的なアクティブタンクであり、非危険物およびIMDGコードで規定されたT11以下(T11を含む)の物質の輸送に適しています。
タンクにはスチーム加熱用のパイプを装備することができ、蒸気によって内槽を間接的に加熱することで、貨物を融点以上の温度に加熱し、固体から液体へと変化させることが可能です。
また、高低差を利用した重力排出または外部ポンプによる排出のいずれにも対応しており、底部バルブから簡単に荷下ろしが行えます。操作もシンプルで、利便性に優れています。
(2) ISOタンク T14
ISOタンクT14は、特殊仕様のタンクコンテナであり、非危険物およびIMDGコードで規定されたT14物質の輸送に適しています。このタイプはトップロード/トップアンロード(上部からの積み下ろしのみ)に対応しており、底部バルブ(ボトムバルブ)を備えていません。
底バルブがない構造のため、より高い気密性を確保でき、漏洩リスクの低減に優れています。
(3) ISOタンク T14(PTFEライニング仕様)
ISOタンクT14(PTFEライニング仕様)は、T14タイプのタンク内槽にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)ライニングを施した特別仕様です。
PTFEは非常に高い耐腐食性を持ち、強酸・強アルカリなどの腐食性物質の輸送に適しているほか、電子グレードの高純度化学品にも対応可能です。
(4) ISOタンク T50(IMO 5)および T75(IMO 7)
ISOタンクT50(IMO 5)およびT75(IMO 7)は、いずれも気体の輸送に特化したコンテナタイプであり、IMDGコードに基づいたアクティブタンク規格に準拠して選定されます。両者の主な違いは、内槽の使用圧力および試験圧力の仕様にあります。
(5) セメントタンク(CEMENT TANK)
セメントタンクは、粉体セメント専用のタンクコンテナであり、散積状態のセメントを輸送・保管するために設計された容器です。
(6) AHF(無水フッ化水素)専用タンクコンテナ
AHF(無水フッ化水素)専用タンクコンテナは、無水フッ化水素(Anhydrous Hydrogen Fluoride)の輸送および保管に特化したコンテナです。
無水フッ化水素は極めて腐食性が高く、危険性の高い化学物質であるため、その取り扱いには高度な安全対策と専用設備が求められます。
(7) 高温仕様タンクコンテナ
高温仕様タンクコンテナは、ISOタンクの内槽に316Lステンレス鋼を使用し、高温環境に対応できる構造となっています。
また、スチームパイプの加熱面積を拡大することで、間接加熱による効率的な温度上昇を可能にしています。この構造により、内槽は最大200℃までの高温に耐えることができ、融点の高い製品や迅速な加熱が必要な貨物の輸送・保管に最適です。
4. ISOタンクの充填率:IMDGコード(国際海上危険物規則)に基づく規定
非危険物における最小充填率は75%
充填量の計算式:コンテナ容量 × 貨物の密度(比重) × 75% = 実際の充填重量
例:24,000リットル × 0.80(密度または比重)× 75% = 14,400kg
非危険物における最大充填率は97%
コンテナ容量 × 貨物の密度(比重) × 97% = 実際の充填重量
例:24,000リットル × 0.80 (密度または比重)× 97% = 18,624kg
危険物における最小充填率は80%
コンテナ容量 × 貨物の密度(比重) × 80% = 実際の充填重量
例:24,000リットル × 0.80(密度または比重)× 80% = 15,360kg
危険物における最大充填率は95%
コンテナ容量 × 貨物の密度(比重) × 95% = 実際の充填重量
例:24,000リットル × 0.80(密度または比重)× 95% = 18,240kg
出発港および到着港における道路の重量制限を事前にご確認の上、積載数量をご判断ください。
掲載日: 2025 年 1 月 21 日